コロナデモの意味 〜Demos gegen Corona-Regeln〜

先週の土曜日は5月1日でメーデーだった。それとも関係があるのだろう、ベルリンやその他ドイツの都市でかなり大規模のデモが開催された。

この日はベルリンでデモの中心地となったアレキサンダー広場から一駅離れた辺りで日本のテレビ番組のためのロケをしていた。ほぼ終日、仕事をしていたせいでデモの様子がさっぱり追えなかったのだが、撮影中に何台もパトカーが近くを走り過ぎ、後ろ手に連行されている男性の姿が目に入って来たりもした。

この日は近くでHeute Show(ZDF)のカメラチームが襲われ、数名が怪我を負うという事件もあったことを後になって知った。

以下、現場で取材をしていた風刺家アブデルカリム(Abdelkarim)によるコメントを載せておこう。取材が終わり、引き上げようとしたところを不意に襲われたのだそうだ。Heute Showでは番組の最後に襲撃について取り上げ司会のオリヴァー・ベルケ(Oliver Welke)が「基本法の正当性を主張するデモの際に報道の自由を踏みにじるなんて本当に馬鹿げている。」というようなコメントをしており、全くその通りだと感じた。アブデルカリムにとっては2度目の外回りの取材だったようで「本当に2度目でそんな目に合うなんて、クソだよね。」とも。入院していた6名のスタッフも怪我は回復しているということで安心した。トラウマなどで仕事に支障が出なければ、と心配でならない。

„Das war wie ein richtig hässliches Kriegsfilm-Bild, ein Haufen aggressiver Menschen, die auf andere wehrlose Menschen einschlugen. Manche lagen schon auf dem Boden. So etwas habe ich noch nie erlebt, so feige, brutal und asozial. Ich wusste sofort, dass ich keine Chance habe, da irgendwie zu helfen.“

Überfall wirkte wie „hässliches Kriegsfilm-Bild“ / RP Online

気になるのはこういった事件が近頃多発する傾向にあるということだ。ZDFのカメラチーム襲撃から数日後の6日にはARDのチームがやはりデモ参加者に襲われている。

例年、メーデーの日はベルリンでもデモ隊と警官が衝突するのがほぼお決まりになっているが、今年は外出制限下の中でしかも許可されているデモの規模は50人まで。平時のような大騒ぎにはならないはずだと思い込んでいた。

ベルリンで行われた「衛生デモ」(Hygienedemo)は1日のデモに1000人以上、5日のデモには約400人もの人々がデモに集まったというのだ。

残念なことに、1日のデモも5日のデモも「名目上は」コロナ政策に対する反対デモであり、外出制限が基本法の自由権の侵害に当たるという主張を掲げている

予防接種反対者に陰謀論説信者から右派ポピュリスト、裕福層そして極右や極左に一般市民までもが入り乱れ、チャットグループも展開されていた。例えば、シュトゥットガルトで開かれたQuerdenkenへのデモの参加者数は数千人規模。Widerstand2020のアピールに賛同していたという。

このようなデモの背後にはネット上で糸を引く輩が必ずいるとは思うが、一般市民の中にも外出制限が大げさな対策だ、と考える人々が出てきているように感じる。

やっと感染者数の減少が見られ、再生産数が1以下までに減ったところで、一気に市民の我慢が限界に達したのだろうか。

「もう十分我慢したんだから、いい加減いつも通りの暮らしをさせてくれ!」と。

思った以上に我慢できなかったらしい。第二波が来なければいいと願うより他はなし。相手はルールを決める現政権ではなくコロナウイルスなのだから。今では再生産数も再び1.13まで数値を上げている。

単純に考えても数百人、数千人の単位のデモで人々が接触すれば数人の感染者からあっという間にウイルスが拡散されそうなものだ。外出制限に反対するデモによって、さらに外出制限が延長される可能性が高まることになりかねない。これまでの努力が水の泡になる可能性すら秘めている。そのくらいの想像力を持ち合わせていないのだろうか。全くもって色々と謎である。

最後にひとつ。今回のコロナデモの背景や参加者の層もよく調べず、あることないことを安易に伝える動画などが出回っているようだが、そういう行為がさらなる不用意な行動に繋がりかねない、ということを今一度考えて頂きたい。

ドイツのメディアでも、コロナウイルスとその発生源に関するオンライン上での根拠のない噂や誤情報、そして陰謀説論などの拡散について警鐘が鳴らされている。必要のない不安を煽ったり、誤情報だと気付かず拡散してしまわぬようできるだけ信用のできる一次情報に当たる習慣を身に付けたいところだ。

最近、同じことばかり書いているような気もするが自戒も込めて敢えてお伝えしておきます。記事の内容などでお気付きの点などありましたらご一報を。

参考記事:
RP Online: Überfall wirkte wie „hässliches Kriegsfilm-Bild“
/ Abdelkarim und Oliver Welke reden über Attacke auf ZDF-Team bei Hygiene-Demo
SWR Aktuell: “Querdenken” und “Widerstand 2020”: Wer steckt hinter den Demos in Stuttgart?
WELT: Verdächtiger nach Angriff auf ARD-Kamerateam wieder frei



Comments

“コロナデモの意味 〜Demos gegen Corona-Regeln〜” への2件のフィードバック

  1. […] 前回の投稿「コロナデモの意味」でも触れたのだが、ウイルスとの戦いがいつのまにか情報戦にすり替わりつつある。 […]

  2. […] Schulkrise in Berlin / ベルリンの学校危機 コロナデモの意味 〜Demos gegen Corona-Regeln〜 […]

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