Dreharbeiten und das Wetter / ロケと天気の関係

明日から「春の味覚」をテーマに2日間ロケがある。

2002年からコーディネーター業をやっているので、ロケ最中に天候に振り回されたことが何回もあるように思えるが、実は数えるほどしかない。

世間で言うところの、いわゆる自称「晴れ女」だと思っていた。今日までは。

だがしかし、晴れ女だろうが雨女だろうが、ドイツにおいて、4月の天気は最もきまぐれでこんな言い伝えのような気休めでコントロールできる類のものではない。

「ロケと天気」で真っ先に思い浮かぶのは、いつだったか2月末から3月初旬にかけて、ライン川沿いで行ったとあるCMの撮影である。

クライアントさんの都合がどうしても付かず、まだ冬真っ盛りの2月下旬から3月初旬に「春の絵」を撮りたい、という制作チームのコーディネートをすることになった。

もちろん、開口一番「日本はその時期、すでに春めいてきているかもしれませんが、こちらドイツで2月下旬や3月初旬は雪も普通に降りますし、日本でいうところの春ではありませんよ!!」と何度も念をおしておいた。

当然である。釘を刺して置かないと現場で何を言い出されるやもわからない。

これまた恐ろしいことに、実際、現地入りしてみると天気が崩れ、ロケハンの当日には視界が5メートルほどしか効かないほどの吹雪になったのである。

「え、こんな天気になるって聞いてませんけど。」(冬だと言いませんでしたっけ?)

「これじゃ、撮影になりませんよね。」(だから、雪も普通に降ると念を押しましたが、お忘れですか?)

ロケハン中の雰囲気がこれだけで掴めるだろうか。いやはや、和気藹々とはとても言い難い空気が始終流れていたのは言うまでもない。

しかし、ここで奇跡のような出来事が。

撮影日本番の日を迎えると、見事な快晴に恵まれ、気温も昼からぐんぐんと上昇。田舎だったため、朝方は冷え込み残っていた雪が、昼には一気に溶けたのである。

「うわー、すごい!晴れましたね!!」

あの時の皆さんの笑顔を見て、どれだけ安堵したかお分かりだろうか。逆にあのまま、吹雪が止んでいなかったらどうなっていたのだろう、なんて現場では微塵も思わなかった。

畑での撮影だったのだが、午後の太陽だけでは溶けきらなかった雪は全員で踏んで消したことも忘れられない。靴はどろどろになったが、そんなことはこの際どうでもいいのだ。

そして、無事に春らしい陽気に包まれたCMが完成したのである。

明日からの撮影にもこんな奇跡が起こらないかな、とかすかな希望を抱きつつ、まだロストバゲッジで空港から出発できないクライアントさんのことを心配している自分であった。

コーディネーター業、運も実力のうち。

でも、自然には敵わない。

現場ではできる限りのことをして乗り切るしかないのです。



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