Kaufhaus Jandorf / ヤンドルフ百貨店の行方
Kaufhaus Jandorfといえば、近所にあるとても好きな建物だ。
以前、ブログKaufhaus Jandorfでも書いたように、様々なイベントスペースとしてファッションウィークや写真展、CDUのbegehbares Haus「ウォークインハウス」、即ち選挙キャンペーンのために一般に開放されたインフォーメーションセンターとしても使用された多目的スペースであった。
1904年に経営者アドルフ・ヤンドルフによってオープンした百貨店だったので、高い吹き抜けスペースのあるとても面白い空間だったのだ。
公園の向かいに立つ非常に立地のよい物件なので、逆にこれまで数十年も空き物件だったことが不思議といえば不思議である。
高級アパートやホテルに姿を変えなかっただけ、まだマシだといえばいいのだろうか。2018年から本格的な工事が始まり、改装後の使用用途が気になっていた。
工事もほぼ終盤に入ったようで、外からも内装などが見えるようになってきた。カフェ?ホテル??いや、少し違うな。何だろう。
モダンなデザインの照明とソファなどが見えるが実際のところ、何になるのか見当がつかない。ただし、入り口の扉は常に固く閉ざされており、これまでのように自由に出入りができない何かになりつつあることだけははっきりとわかった。
都市開発にはよくあることだが、ずっと見慣れた生活の一部だったスペースにある日を境に入れなくなる、というのは結構つらい。
地区のフリーペーパーでこの建物にダイムラーとBMWが拠点を築くことを知った時は正直、がっかりさせられた。
建物の向かいには公園もあるのだが、500人もの社員がここで仕事をすることになれば、馴染みのある風景や雰囲気が変わってしまうかもしれない。カフェや近くのレストランも混むかもしれないし、便乗値上げなどもあるかもしれない。そんなことをぼんやりと考えた。
ダイムラーとBMWのグローバル・ヘッドクォーターとなるそうだが、モビリティ分野での両者のジョイント・ベンチャーは以下の5つだ。
Reach Now:マルチモジュールのモビリティプラットフォーム
Share Now:カーシャリングサービス
Free Now:配車(タクシー)サービス
Park Now:駐車場や路上パーキングのサポート
Charge Now:電気自動車のバッテリーステーション用アプリ
Your NowのHPでこれら5つの詳しい説明が紹介されている。
スマートモビリティ開発の先鋭たちがやってくるのだろう。そのため、従来のショールームのような公共スペースは設置されないとのこと。当然の流れである。
スタートアップやベンチャー企業が多く集まるベルリン。そのまさに中心地に拠点を移すことになったダイムラーとBMWによるジョイント・ベンチャー。
スマートモビリティの行方には関心があるので、若干の寂しさはあるが今後に期待したい。