Kippa / キッパを被ろう

先日、いくつか引っかかる記事に遭遇した。
一つ目は夜間ではなく日中のプレンツラウワーベルク地区で起こった反ユダヤ主義的暴力事件。襲われた21歳の青年はドイチェ・ヴェレとのインタビューでこう答えたというのだ。

スクリーンショット 2018-04-21 21.13.09

私はユダヤ人ではありません。私はイスラエルでアラブ系家族の元で育ちました。」彼の友人のひとりがドイツでは街中をユダヤ帽(キッパ)を被って歩くことは危険だ、と警告したらしい。そして、彼はそれを信じることができず、その逆を証明したくてキッパを被ってみたんだそうだ。被っていた帽子はイスラエル人の友人からもらったもので、これまでにキッパを被ったことはなかったという。

ユダヤ人でもなく、ユダヤ教の信者でもないアラブ系の若者が、敢えてキッパを被って試験的に道を歩いてみた、ということになる。設定が不自然な気がしないでもない。加害者と見られる若者はアラビア語でユダヤ人を表す「Yahudi」という言葉を何度か口にしている。

この若者が襲われた地区は犯罪が多いややこしい場所ではなく、どちらかと言えばブルジョアの多く住むプレンツラウワーベルク地区のヘルムホルム広場からすぐであった。周辺には日本人の経営する和食のお店もいくつかあるのだが、お洒落なカフェやレストランなども多く、子連れのファミリーで賑わう公園などもあるため、人通りもそこそこ多かったはずである。

この事件を受けて、民主主義と反アンチセミティズムのためのユダヤ人フォーラム(JFDA)の広報、レビ・サロモン氏は「ベルリンでも裕福な地区であるプレンツラウワーベルクの公道でひとりのユダヤ人だと思われる若者が襲われているのを見ることは堪え難い。このことはユダヤ人がここでも安全ではないということを示している。」と見解を述べている。

被害者が撮影した映像

https://jfda.de/blog/2018/04/17/antisemitischer-angriff-in-berlin-prenzlauer-berg/

参考記事:Zeitonline: Attackierter Israeli spricht von “Erfahrung”

この事件後、フェイスブック上でベルリンのユダヤ人コミュニティーから、市民に連帯を呼びかける集会の告知が出ていた。「ベルリンはキッパを被る」というタイトルのポップでカラフルなデザイン。時間的にも場所的にも足を運ぶには厳しいのだが、とても気になっている。

長くなってしまったので、次回はもうひとつ気になった記事「学校でのいじめ」(Schulmobbing)について書こうと思っている。

追記:加害者はシリアから難民としてやってきた19歳のシリア人の若者だったそうだ。


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Comments

“Kippa / キッパを被ろう” への2件のフィードバック

  1. […] 前回の続きで、もうひとつ気になったのが「学校でのいじめ」に関するTagesspiegelの記事。もちろん、ここに書かれたことが全てではないだろうが何に驚いたのかというと、ドイツの首都ベルリンでドイツ人であるがゆえにいじめの対象になるケースがある、ということだった。 […]

  2. […] たまたま、イスラエルやシリア関連のネガティブな記事が気になっていたところだったのだが、人というのは基本的に自分には理解できないものや知らないものに対する恐怖心というものがあり、それが様々な障壁を作ってしまうのではないかと思うのだ。 […]

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