E-Scooter / 電動キックボードスクーター

ポーランドの首都ワルシャワやポズナンで見かけた電動キックボードスクーター。

観光客目線ではとても便利そうで魅力的な乗り物に映った。ワルシャワでは冬で寒過ぎたのと、ポズナンでは子連れだったため実際に使ってみる機会がなかったのが残念だ。

ワルシャワの目抜き通りシフィエントクシスカ通り

ここ数年で観光客が目立って増加しているベルリン。

なぜ電動キックボードスクーターが導入されないのだろう。

ワルシャワやポズナンでは何の問題もなくスムーズに導入されている印象を受けた。一番の理由は街がベルリンほど混んではいないこと。特にポズナンでは市内の運転マナーが歩行者優先で非常に良かったこと。とにかく、交通網でイライラしている人が少ない印象だった。

ポズナンを例に挙げると、シェアバイクもドイツ発のNextbikeのフランチャイズ一社のみが参入しているだけで、基本的にはステーション型になっているため、自転車がベルリンのように歩道に好き勝手に駐輪されていない。

電動キックボードスクーターにしても、おそらく現状では一社のみで回しているのだろう。歩道脇にきちんと並べられていたスクーターも特に邪魔だとは思わなかった。

ベルリンはシェアバイクひとつ取っても、何社もまとめて一斉に介入してきた印象が強い。しかも、街のあちらこちらにてんでバラバラに自転車を設置した感がある。

腹いせなのか、ただのイタズラなのかもしれないが、自転車が公園の木に引っ掛けてあったり、池に投げ込まれていたり、凍った池の上にわざわざ放置されていたりするのだからタチが悪い。

利用者のマナーも悪い。ただでさえ狭い歩道を塞ぐかのような駐輪の仕方なので、住んでいる者にとっては邪魔でしかない。

今の飽和状態をさらに悪化させかねないのが、今回の電動キックボードスクーターの導入である。観光客にとってはおそらく魅力的な移動ツールになるだろうが、小さな子連れの親や高齢者にとってはおそらく危険が増すだけだろう。

車と自転車でもすでに喧々囂々なのに、そこに電動キックボードスクーターが加わればストレスもマックスである。ドイツ人はどういうわけか乗り物に乗ると豹変するタイプが多いのだ。

ターゲスシュピーゲルにはこれでもか、というほどネガティブな調子の電動スクーターに関する記事があった。

Die E-Scooter sind ein Riesenfehler!
Helme? So ein Quatsch! Fußgänger? Aus dem Weg! Wenn E-Scooter im Sommer Berlins Verkehr erobern, wird Blut fließen.

Der Tagesspiegel

電動キックボードスクーター(導入)は大間違い!

ヘルメット?そんなもの意味がない!歩行者?どけどけ!もし、電動キックボードスクーターが夏にベルリンの交通網に参入すれば、流血沙汰になるだろう。

記事内ではこれまで導入された各都市の問題が羅列されている。

パリ:導入された電動キックボードスクーターの台数が今年ですでに4万台。
マドリッド:電動キックボードスクーターが歩道をたくさん走るため歩道の安全が保たれなくなった。
サンフランシスコ:住民がいい加減に置かれたキックボードスクーターの上にう◯ちをする。
ストックホルム:導入後に(弊害が多過ぎて)規制を試みる。
オースティンおよびワシントン:車との接触事故
バルセロナ郊外:死亡事故

テイクアウトのコーヒー片手に乗ったり、セルフィーを撮ったりすれば、時速20キロで歩道に倒れて痛い目にあう。12歳以上であれば乗ってもよし、とする現行法では問題があるのでは?

とにかくこの記者は電動キックボードスクーターに大反対という立場から、初めから終わりまでこんな調子で「電動キックボードスクーターの導入には慎重になった方が良い。」というメッセージをぶちまかしているのだ。

類似記事をシェアバイク導入の際も数多く見かけたが、現状、導入に成功したのかしていないのか何ともはっきりしない。そんな状況でまた電動キックボードスクーターも導入してしまうのがベルリンのやり方なんだろう。やれやれ、である。

また近所の公園の池が放り込まれた自転車やら電動キックボードスクーターやらでいっぱいになるのであれば、こんな迷惑なことはない。

Der Stettiner Bahnhof / 北へ向かう駅〜2

前回の続き。ベルリンのミッテ区、現在「北駅」(Nordbahnhof)のあるインヴァリーデン通り/ガルテン通り近辺一体のエリアについて。

高台にポツンとひとつだけ立っている北西方面の出口から外へ出ると、これまた新しくできたクライミング施設やビーチバレーボール施設のある公園が道路を渡ったところに続いている。

Nordwestlicher Zugang an der Julie-Wolfthorn-Straße

これまでは特に用事もないので、わざわざ歩きに行ったことのない場所である。でも、今日はカメラ片手の散歩なので足を踏み入れてみることに。

少し入って後ろを振り返ると、これまた何ともアンバランスな風景が広がる。Sバーンの北側の入り口にあるSの看板、すぐ側に建設予定の高級マンションの入居案内板などが見える。遠目にテレビ塔も見えた。

ベルリンの壁跡が敷地を貫くマンション。高値が付くことだろう。これが完成する2021年頃にはまたこのエリアの持つ独特の景色が変わっているかもしれない。

入り口と反対側を見てみると、驚くほど何もない空間が広がっている。左手にクライミング施設のMOUNT MITTEとその背後にはドイツ鉄道(DB)のオフィスが並んでいるのが見える。

壁と手すりのようなものが見えたので、そちら側を歩き後ろを振り返る。またテレビ塔が見える。お気付きの方もいるだろうが、この公園3メートルほどの高台の上にあるのでテレビ塔がよく見えるのだ。

これも実は当時の名残で、1842年開設されたシュテティーン駅のほとんどの建物は道路から3メートル上の高台に建っていたらしい。よく見ると、当時の線路跡などが所々に残っているのがわかる。

この公園、もしかしてジョギングに最適なのでは!?

1842年に開設され、1950年にそれまでのポーランドの地名が当てられていたシュテティーン駅を改め、Nordbahnhofと改名された「北駅」。

この駅のもうひとつの顔は、当時の西ベルリンと東ベルリンの境界線としての機能である。ガルテン通りのレンガで作られた駅の壁が「ベルリンの壁」としての役割を担っていた。

ガルテン通りの壁

そして、先ほども少し触れた公園内に400メートルほど残るもうひとつの壁だ。二つ目の壁はHinterlandmauerと呼ばれ、一つ目の壁と無人地帯を挟んで立てられた壁に当たる。

Hintermauer

この公園の名前はPark am Nordbahnhof(北駅公園)だが、この場所特有の空気の出所がようやく解明した。

北駅の歴史とベルリンの壁の歴史を感じることのできる公園なので、機会があれば是非歩いてみてほしい。

もう少し続きます。

参照HP : ミッテ区プレスリリース

Park Mickiewicza / ポズナンのミツキエビツァ公園

ポズナン最終日。

最終日がこれまた夏日で28度くらいまで気温が上がった。

子供たちも連日遊びすぎたのと、うだるような暑さで歩きたがらず。

アパートをチェックアウトし、中央駅でひとつだけ幸運にも空いていたコインロッカーに荷物をなんとか押し込む。

とにかく暑い。暑いのに中央駅や街中にはコスプレをした人々がわんさかいた。どうやらコミケがあるらしい。そう言えば、ピカチューの帽子をかぶったお姉さんがロッカーの使い方を親切に教えてくれたのだった。

こんな時はまた水辺へ。駅から近いところで水のあるところ。大きな噴水のあるミツキエビツァ公園へ行くことに。側にはポーゼン城もあり、お気に入りのカフェも入っているのでそこでランチをすることにした。

3人とも疲れていたので、カフェでうだうだとランチ。カッテージチーズとチェリーのクレープとサラダをシェア。

ロシアのブリヌィ、チェコのパラチンキと並びポーランドのナレシニキもやはり美味しい。

食べて少し元気になったので、ミツキエビツァ公園で涼むことにした。ミツキエビチはポーランドの国民的詩人でポーランドの独立運動にも大きく影響を与えた人物とされる。

途中で大きなモニュメントが。息子はこういった記念碑にいつも反応する。

「ママ、これはなに?なんでこんな大きいの作った?」

1956年のポズナン蜂起による犠牲者

この記念碑は 「ポズナン暴動」(Poznański Czerwiec ’56)、ポズナンの労働者蜂起を記念して作られた。ポラーンドの軍隊と衝突したことから10万人に及ぶデモ参加者のうち57名が犠牲になり、およそ600名の負傷者が出ている。

1989年にポーランドの政権交代を経て、ようやく労働者蜂起やそれによる犠牲者について自由な意見交換や公式の見解が出されるようになった。

同年に起こったハンガリー動乱やプラハの春にも影響を与えたと思われるポズナン労働者蜂起は西欧やその他の国々ではあまり知られていないのだそうだ

噴水のある池に入って遊ぶのに飽きたら、今度はアイス。

「ママ、さっきトラム降りたとこにアイスあったやん。」

アイスのある場所をしっかりとチェック済みの子供たち。

Na Teatralce

コーヒー味のアイスとバニラアイスを食べて、そろそろ駅へ向かうことにした。

これまでの滞在で一番混んでいたのがコミケで賑わっていたこの日の中央駅ではないか。

ポズナンはベルリンから列車で3時間ほどで行ける上、街もこじんまりしていてカラフル。そして何と言ってもごちゃごちゃと混んでおらず、とてもゆっくりできる歩きやすい街である。

機会があれば是非ポズナンにも足を伸ばしてみてほしい。

クラクフやヴロツワフにも行ってみたいなぁ。ポーランドがますます好きになった。ポズナンへの旅、子供たちにも大好評でした。




Jezioro Rusałka / ポズナンのルサウカ湖

ポズナン滞在3日目。初日と二日目の寒さが嘘のように夏日に。

それじゃあ、湖に行こう、ということでグーグルマップで近くの湖を探す。

ここが良さそうだな、とゴレンチン地区にあるルサウカ湖へ行ってみることにした。市場の横から出ているバスで約30分。ゴレンチンで降り、森の中を15分ほど歩く。

動物園や湖に行くこと自体はベルリンと同じだが、知らない土地で初めての場所を訪れるというのはそれだけでワクワクするものだ。

森を抜けると看板が立っていた。どうやらここで間違いないらしい。湖と一言で言っても、果たしてすぐ側に泳げるビーチがあるという保証はない。看板の案内を見る限りなかなか良さそうな場所だということが分かる。

ずいぶんと整備された公園もあった。正午前だったので、まだほとんど人もいない。平日のポズナンはどこへ行っても空いているのでオススメだ。

夏日になってすぐだったので、湖の水はまだかなり冷たい。午前中から水着になっているのは夏でも冷たいバルト海で鍛えられている(?)我が家の子供たちだけだった。

ルサウカ湖周辺にはサイクリングコースも整っており、自転車に乗るのも気持ち良さそう。

軽食が採れるインビスやレストランも併設されているので、一日中ゆったりと過ごせる場所だ。

市街地ではないので、ポーランド語しか通じないようだった。若い女性に「英語を話せますか?」と聞くと、「ロシア語だったら話せるんだけど。」と言われたので、ロシア語でやり取りをした。こんなところでロシア語が役に立つとは、やはり東欧らしい。

お姉さんオススメのグラーシュでランチ

スープの美味しいポーランド。インビスだけれど、スープでランチ。お姉さんに店の前に出ていた看板に書かれた三番目のスープについて聞いてみたところ。。

「私はこれは食べないわ。好きじゃない。これ(グラーシュ)は美味しいけど。」

と、これまた率直なご意見。ランチはグラーシュに決定。子供達はフライドポテトとシュニッツェル(ドイツ風カツレツ)、ケバブ肉とこれまた安定のメニューで。

場所柄か、地元民しか来ていないようだったが、静かで自然の豊かな湖なのでポズナンに行く機会があれば、是非訪れてみてほしい。

Nowe Zoo in Poznań / ポズナン〜新動物園

子連れポズナン二日目。

この日もなぜかまた動物園へ。昨日は偶然、旧動物園の前を通りかかったので中に入ってみたのだが、今度は街の東外れに新しくできた動物園へ向かうことに。

Dąbrowskiego通りのWiepofama(機械加工製造業)

宿泊アパートからはドンブロフスキエゴ(Dąbrowskiego)通りから出るトラムとバスを乗り継いで1時間弱とかなり遠い。

Dąbrowskiego通りのNobel Tower

マルタンスキエ湖の隣に動物園の広い敷地が横たわっている。この湖の周辺にはプールやアスレチック、人工スキー場など休日は賑わうレクリエーション施設が多く集まっているようだ。

しかし、訪れたのは平日。ベルリンの動物園とは違い、平日は人がほとんどいない上にレストランなどの施設もかろうじて開いているという状態だった。メニューも週末の3分の1ほどしかない。

そう言えば、以前チェコの小さな街の動物園に行った時も、同じように平日はガラガラだったのを思い出した。

さて、この動物園、あまりにも広いので中で迷ってしまった。どこまでが動物園なのかすら曖昧なのだ。

全てを徒歩で回るのは大変なので、構内には無料の車両が走っている。

園内マップ

この新動物園は旧動物園の100周年記念に合わせてオープン。旧動物園の限られたスペースを補うために新たな施設を建設する必要に迫られたのだそうだ。

1971年以降、変温動物のパビリオンのみを残し、動物たちは順に新しい動物園に移された。

オオミミギツネがイーブイにしか見えない

敷地面積は117ヘクタールほどあり、ポーランドで二番目に大きな動物園なのだそうだ。どうりで広いはずである。

野生のカモも人が少ないので、のんびりと道路を散歩していた。人懐っこいのかカメラを向けても逃げようともしない。

ところで、このガラガラで人気のない動物園のジムにシャワーズを置いてみたところ、なんと2日経ってもまだポツンと一人ぼっちでジムを守っているようだ。ベルリンに帰ってきたというのに、ポケモンがまだポズナンの動物園にいるというのもすごい。

ジムの名前がŻubrになっているので調べてみたところ、どうやらビールのメーカーらしいことがわかった。しかも、アサヒビールが一部株を保有しているらしい。縁があるのかないのかわからないが、なかなか面白い偶然だった。

そんなわけで、この日も園内で散々迷ったおかげでよく歩いた1日となった。

Jeżyce in Poznań / ポズナン〜イェジツェ区

ポズナン再訪。2度目なので、今回はあえて中心から西側の少し外れたイェジツェ地区にエアビー(Airbnb)を利用してアパートを借りることにした。

余り深く考えずに、ゲスト評価も高く雰囲気の良さそうなアパートを見つけたので即予約。

ここにも古き良きベルリンの面影が。改装されていない古びれた外観のアパート。中庭も手作り感が溢れたいい雰囲気だ。

アパートの内装がこれまたとても感じが良く、ディティールにもこだわりが感じられる。

アパートに隣接した場所にカジュアルなレストランが何軒か入ったスペースがあったので、サクッとピザで遅めのランチ(子連れだとこうなる)にする。

近所の通りにも小洒落た店が並んでいる。

Strefa pasji

風が強く肌寒い日だったが、市街地に向かう途中に通りがかった旧動物園に足を運んだ。

今回は子連れの旅なので、前回のひとり旅とはそもそも行き先が大きく異なる。

入園料は無料だが、子供用の遊具などもあり、子連れの家族がのんびりと過ごせるこじんまりとした動物園である。少し手の込んだ遊具が10ズヴォティ、ゴーカートが7ズヴォティだった。

ポズナンの西側に新しくできた動物園があるので、そこへも行ってみる予定だが、こちらの古い動物園は空いていて近所の人が散歩がてら子連れで遊びに来る場所のようだ。

ポーランドはまだイースター休暇ではないので、平日はどこへ行ってもがらーんとしている。

こんな鄙びた建物も味がある。

動物園から見える建物も素敵だ。グーグルマップでは高校の建物となっていた。


子供たちを見ていると、彼らにとって自分がどこにいるのかということは大して意味のあることではなく、「動物園」や「公園」に行けるかどうかの方が重要なファクターなのだなぁ、と常々思う。

もちろん、ご飯が美味しいかどうかも大事なことなので、この日はピエロギのインビスでピエロギにチキンスープ(ロソウ:Rosół )とサラダを食べて帰宅した。

ここのピエロギは安くて美味しいので是非!ロソウも最高。
ポーランドのスープは本当に美味しい。

このピエロギインビスは市街地にあるので、観光の途中で寄ってみてください。



パンスカ通りのMuzeum / Warszawa-6

最終日のワルシャワは寒くて雨だった。頼れる旅の友は一足先に空港に向かうので、アパートの窓から手を振って別れ、帰り支度を整えてから中央駅に向かう。

天気も悪いし何しようかな?

駅から歩いてすぐの場所にmuzeum na pańskiejというカフェとブックストアが併設されたアートスペースがあるようなので、荷物を中央駅で預けてからそちらへぶらぶらと行ってみることにした。

ピアノの鍵盤になっている横断歩道

例の文化科学宮殿の斜め向かいに一見しただけではそれとは分からない建物があった。

上の写真、左下にMUZEUMという看板があるのにお気付きだろうか。どうやらこの共産主義時代の産物であるアパートの一階部分にカフェとブックストアが入っているようなのだが、正面にブロックされた空き地があるため表通りからだと非常に分かりづらい。


裏に回り中を見てみるとこの通り。アートブックを専門に扱うBookoffとeMeSenというカフェ。

Bookoff
Cafe eMeSen

年末30日の正午に展覧会の行われていないアートスペースに足を運ぶ人は皆無。スタッフも暇を持て余しているようだったので、少し話を聞いてみることにした。

「パンスカ通りのスペースは一時的にMuzeumのオフィス兼イベントスペースとして利用されているんです。正面の空き地に立っていた家具屋の事務所だったんだけれど、文化科学宮殿のパーキングエリアに2020年を目処に新しく展示スペースが確保される予定になっています。」

「ビスワ川沿いにベルリンからどうやって運んだのかは分からないんだけれど、展示キューブが設置されていて、そちらでなら展示を見ることが出来ますよ。残念ながらここでは何もやっていないので。是非、行ってみてくださいね。」

川沿いの展示スペースの方はベルリンから運ばれてやってきたキューブだというお話。まさかのベルリン繋がり。

ベルリンからやってきたというKunsthalle MuzeumHPより

こちらのキューブ。確かにベルリン宮殿跡の空き地に設置されていたことがある。デザインしたのはオーストリア人のAdolf Krischanitz。ベルリンの展示スペースが不足していることをテーマにしたテンポラリーギャラリーとして利用されていたものなんだそう。ベルリンは移り変わりが激しいので、この移動式展示スペースのことはすっかり忘れていた。2008年から2010年までここにあったらしい。

そしてワルシャワに運ばれ、仮の展示スペースとして再利用されているのがこちら。Sławomir Pawszakによってファサードにペイントが施されている。展示タイトルはniepodległa:ポーランド語で「独立」そのものを表す言葉で、ポーランド独立100周記念を念頭に据えた国としての独立と自立した女性を表す「独立」の二つの意味を兼ね備えているのだろう。国、女性、独立、いずれもポーランド語では女性名詞である。

Ewa Ciepielewska, Heimat (right) 2016; Loan (left) 201

Heimat ist da, wo das Herz ist.
心の故郷、といったところか。

ポーランドに生まれドイツで活動したマルクス主義の政治理論家、哲学者、革命家ローザ・ルクセンブルク。彼女はウクライナ国境近くのザモシチで生まれたが、その生家の記念プレートをポーランド政府が外すように言い渡したらしい。2018年3月のことだ。2015年に保守政党である「法と正義」が政権に就いて以降、情勢が変化している。

展示会場には男性の姿も多くみられ、熱心に作品の解説を読む人の姿も多く見受けられた。ポーランドの右傾化を懸念する報道も後を絶たないが、「独立」というキーワードでこうした国の今後や女性の社会的地位を示唆するようなアート作品を展示することの重要性は計り知れない。今の日本でも十分意味を成す展示内容だったように思う。

Lubaina Himid, Freedom and Change, 1984

ワルシャワにはまた良い季節になれば是非足を運んでみたいと思っています。今回のワルシャワ編はここで終わりです。最後までお付き合い頂きありがとうございました!

ヤシの木とハラ・コシュキ / Warzsawa-5

今回のワルシャワ旅行記。紹介したい場所が多すぎて、年が明けてもまだ「ワルシャワ」編が終わらない。まさかこんなに歩きやすくて盛りだくさんな街だとは思っていなかった。

今までその良さに気付いてあげられなくて本当にごめん、ワルシャワ。

泊まっていたアパートのすぐ側に大きなヤシの木が立っていた。なんだこれ、と思っただけだったが、旧市街のワルシャワ博物館のミュージアムショップでヤシの木のロゴが入ったコースターが売られていた。

あそこに立っているヤシの木?あれって何か特別な意味があるのかな??

そこでようやくヤシの木の存在に本格的な疑問が生まれた。グーグル先生によると、ヨアンナ・ライコフスカ(Joanna Rajkowska: 1968年ビドゴシチ、ポーランド生まれ)のアーティストによる作品、Greetings From Jerusalem Avenue だった。

この作品のインスピレーションは彼女が第二次インティファーダの時期にイスラエルに行って得たものらしい。ヤシの木が立っているのも、イエルサレム大通りと新世界の交差する広場だ。従来はクリスマスツリーが立っていた場所にヤシの木をどーんと据えたわけだ。

現代アートセンターが彼女の作品を保持する決定を出し、修理なども何度か行っている。設置から15年以上も経った今ではワルシャワっ子にとってなくてはならないランドマークになっているのだそうだ。このヤシの木のしたで政治的な集会やデモなども行われるのだとか。

というわけで、粋な計らいをする現代アートセンターに行く前に世界各国の料理が楽しめるというマーケットホールに足を運んでみた。

コシコバ通りにあるハラ・コシュキ(Hala Koszyki)へ。

ハラ・コシュキはユリウス・ジェジャノフスキ(Juliusz Dzierżanowski)によるアール・ヌーヴォー様式建築。1906年から1908年にかけて建設され、「市民の台所」として知られていた。

現在の姿は当時の鉄骨や多色なレンガ作りのデザインを尊重しつつ、丁寧に修繕を重ねたものだ。ポーランドには腕のいい職人がたくさんいるに違いない。ワルシャワの歴史地区もそうだが、細部に至るまで愛情を込めて修繕されているのが建物を見ていると伝わってくる。そして何と言っても全体のバランスやセンスがとてもいい。

2階はオフィススペースになっている。

Kreperiaでポーランドのクレープ(Naleśniki / ナレシニキ)を頂く。スイーツ系にも惹かれたがランチタイムだったので、バターで炒めたエビにチリとガーリック味を効かせたCatalanを注文。美味しい〜!!ポーランド料理はドイツと比べて塩味も甘さも控えめで日本人好みの味付けだと思う。前回のポズナン滞在でもそう思ったが、今回のワルシャワ滞在でポーランド料理の美味しさを再確認した。

現在はホテルのMDM

道すがら気になる建物が。MDMはホテルとして利用されているということなので、また機会があれば宿泊してみたい。この建物は50年代にワルシャワの労働者階級が憧れたアパートだったのだそうだ。

the Centre for Contemporary Art, Ujazdowski Castle

ウヤドフスキ公園内にある現代アートセンターに到着。ヤシの木のアーティスト、ヨアンナさんの作品は展示されているんだろうか。

Cezary Poniatowski, Spokój (Calm), instalacja (installation) 2018

dźwięk (sound), Lubomir Grzelak
Dominika Olszowy, Waiting for the Rest, instalacja (installation), 2018
Darius Žiūra, Testy ekranowe (Screen Tests: three-part multimedia installation), 2018

Darius Žiūraはリトアニア人のアーティスト。別の展示スペースにカメラ一台が置いてあり、そこで希望する訪問者が座って15秒ほど撮影した動画を展示で流す、というコンセプト。もちろん友人とふたりでカメラの前に座ってきた。

今回の展示Waiting for Another Comingはワルシャワとヴィリニュスで同時に行われているアートプロジェクト。プログラムの詳細について興味のある方はリンクを読んでみて欲しい。

リトアニアにも随分長い間足を運んでいないので、また近いうちに再訪したい。中欧の歴史は複雑すぎてついていけないのだが、ポーランドとリトアニアについてもほとんど何も知らない。何気なく観に行った展示内容から、思いがけない気付きがあるのもアートのいいところだと思う。

もしかすると、自分の知らないことに気付くことができる、というのが自分にとっての旅の醍醐味なのかもしれない。

Joanna Raikowska, satisfaction garanteed

ワルシャワのプラガ地区 〜SOHO / Warzsawa-4

前回はワルシャワの北東にあるプラガ地区についてGoogleキャンパスなどが入るKoneserを中心に紹介した。

今回はKoneserからさらに東に位置するSOHO Factoryについて。

Koneserから少し戻ってトラムに乗り、Minska通りで下車する。周りにはこれまた見事に何も目立ったものが見当たらず、人通りもまばら。日が落ちるのが早いので辺りのひっそり感が半端ない。

本当にこんなところに?

何もないところだからこそ、新しいものが入る隙間があるのだろう。

トラムを降りて、ぐるっと辺りを見回しているとスッキリとした出で立ちの男性が迷いなく遠くに見えるそれらしき建物に向かってスタスタと歩いていたので、また例のごとく後をついて行くことに。

思った通り、こちらSOHOの住人であった。突然、現れるモダンな建物と真向かいの共産主義の名残が見える建物。これまた強烈な対比である。

このSOHO Factory、モダンなアパートと恐らくはコワーキングスペースやスタートアップのオフィス、その階下には保育園の施設などが完備されている。

敷地内にはオシャレな雰囲気のレストランもあり、夏場はテラス席なども出ると思われるのでかなり人出もあるのだろう。

ホームページが工事中で詳細が確認できないものの、SOHOも古い工場の跡地をうまくリノベして再開発された良い例だろう。使用されなくなった線路と車両をオブジェとして残しているところにも好感が持てる。

この敷地内にあるネオンミュージアムがここでのメインイベント。この博物館は個人所有で2005年以降、欧州で唯一のネオンを扱う博物館としてオープンしている。そして、ここに所有されている多くのネオンはポーランドポスター学校のメンバーであったグラフィックデザイナーたちが手がけたものである。

ポスターアートとネオンのフォントデザインがここで繋がるとは!ポーランドでは広告規制の厳しい中、50年代から70年代にかけてネオンライトは黄金時代を迎えた。灰色のどんよりとした街並みにネオンの輝きだけが街に色を与えていたに違いない。

ネオンの光は革命から生まれたものでもあり、国家のプロパガンダにも利用されるというアンビバレントな存在だったのかもしれない。

ネオンミュージアムを観た後に目にするネオンサインは、またどことなく違った印象を与えてくれた。

ネオンミュージアムのHPより

ネオンミュージアム、オリジナルのカップ。底面のロゴもいい。