Fahrraddiebstahl / ベルリンの自転車盗難事情
ベルリンに来たばかりの頃、移動手段としてフリーマーケットで100マルク(!)くらいで購入した深緑の中古自転車。
フリードリヒスハインの知人の家に遊びに行った際、外のフェンスに引っ掛けて施錠したのだが、帰りに見ると自転車のあった場所のフェンスごと切り取られて持って行かれていた。夜間だったので仕方がない。
自転車を買ってから、まだ数日しか経っていなかったのでショックも大きかった。
その状況を見ていた知人は方法は分からないけれど、ふいっと出かけて別の自転車を持って帰ってきた。ベルリンって本当に訳がわからない街だとその時につくづく思った。
そしてなぜか、それ以来自転車の盗難にはあっていない。20年以上も盗難知らずというのはベルリンでは逆にめずらしいケースだ。それほど価値のない自転車に乗っているからだろう。
2年ほど前にSHIMANOの仕事で、市場調査のためにベルリン在住のドイツ人に自転車についてインタビューをしたことがある。
その際に、みなが口を揃えて言っていたことが、「ベルリンでは盗難が多いので、高価な自転車を購入する予定は特にない。」ということだった。
Eバイクの市場調査だったので、数千ユーロする自転車の購入に関する意見などをヒアリングしたわけだ。盗難の問題の回避策として、自宅や職場のオフィスに自転車を置くためのスペースがあれば問題ない、という回答が得られたりもした。
ベルリンの自転車盗難。防ぐにはしっかり施錠しておけばいい、という生易しいレベルではない。窃盗組織があるという話も聞いたが、アパートの中庭の自転車どめに施錠したのに一晩経ったら自転車がなかった、というのも普通のケースらしい。
夜間に道端に駐めておくのはもってのほかだが、アパートの敷地内に施錠しても盗られるのだから、残る手段はアパートの中に持ち運ぶくらいしかない。
2018年には4173台の自転車盗難届がミッテ区で寄せられている。パンコウでは4260台、フリードリヒスハイン・クロイツベルク区では4253台。ベルリンではもうすでに何年も盗難件数が多いのが普通になってしまっている。
昨年だけでも、ベルリン市内では合計3万235台が盗難にあっている。この数字は届出があったものに限られるので、実際はこの数字よりも多いことになるだろう。
警察が勧める盗難防止対策としては、以下の3点が挙げられる。
・自転車の施錠に2種類の鍵を使うこと。こうすれば、盗難に必要な工具がふたつ必要になるため、盗難の対象から外れやすくなる。
・パンを買うためのわずか数分の駐輪の際にもきちんと鍵をかける。
・駐輪の際には必ず電柱や自転車どめなどと一緒に施錠することを心がける。
フレーム番号が記載された自転車パスを作っておけば、盗難にあったさいに追跡しやすくなるらしい。ただし、2017年度の盗難された自転車の発見率はわずか3,9%である。
盗難された自転車は諦める方が懸命な数字だろう。ただし、警察で保管されている所有者不明の自転車を集めたサイトもあるそうなので、リンクを貼っておこう。
https://www.berlin.de/polizei/service/vermissen-sie-ihr-fahrrad/
警察が開く自転車登録(Fahrradkennzeichnung)などのサービスもあるので、興味のある方は是非。
https://www.berlin.de/land/kalender/
https://www.berlin.de/land/kalender/index.php?detail=123928&ls=60&c=22&date_start=11.04.2019
ブランデンブルク州のスタートアップがスマートキーを開発していたが、自転車盗難対策のための商品開発は需要が高いのではないかと思う。
タイトル写真:ウィキペディア