Torstrasse 225/227 / ベルリンの住宅事情

デモ告知

近年、ベルリンの家賃高騰と住居不足はかなり深刻な問題となっている。それにもかかわらず、ミッテ区のTor通り225/227番地では空き家が全体のアパート数のほぼ3分の1を占めているという。

一体なぜなのか。

問題の物件は3つの中庭を持ち、住居面積2235m2の複合アパートである。88戸のアパートおよび4つの店舗を有している。

2006年に改装作業が終わっており、2007年以降、アパートは順調に賃貸者でうまっていた。

しかし、現状は全体の約3分の1に当たるアパートが空室となっており、放置されたままだという。住民が管理人に問い合わせたところ、「当分貸す予定はない。」との回答であったそうだ。

1997年以降、このアパートの所有者は5度変わっている。2017年に住民はアパートの建物全体が売りに出されるという知らせを受ける。

Accentro 6. Wohneigentum GmbHという不動産業者に所有者が変わったためだ。この業者は賃貸アパートを個人所有のアパートにし、これらを転売あるいは所有者自らが住む、という経営体制をとっている。

屋上の増築およびバルコニー、エレベーターの設置工事のための許可書はすでに得ているのだそうだ。

よくあるパターンといえばそれまでだが、10年、20年、30年と長期で同じアパートに住んできた住民たちが、利益最優先の転売不動産業者に所有が変わったことで立ち退きを迫られる典型的なケースである。

不動産業者の視点では古くからの住民を立ち退かせ、高額なリノベを施し家賃を釣り上げて新居者を募れば多くの利益が出るわけだ。

昔ながらの住民の生活がこうしていとも簡単に奪われ、多様な生活レベル、人種の隣人たちのいるカラフルな生活が失われつつあるのが、今のベルリンの現状なのである。

街の中心部からは「支払える家賃のアパート」が消え、億ションが軒並み増える一方だ。ジェントリフィケーションの波は止めることができないのだろうか。

昔は良かった、というのは単なるノスタルジーなのかもしれないが、街のカラーがここ10年で肌感覚で変化してしまったことは否めない。

4月6日(土)の12時よりアレクサンダー広場にてデモが予定されている。フライブルク、ポツダム、ケルン、ボーフムでも同時にデモが開催されるようだ。

家賃の高騰はベルリンに限ったわけではなく、もはやドイツ各地で社会問題となっている。

日本語の告知文: https://mietenwahnsinn.info/demo-april-2019/jp/



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