Kaufhaus Jandorf / ヤンドルフ百貨店

次の仕事が来週行われるドイツ統一選挙絡みなので、近所に1ヶ月程前突如現れたメルケル率いるCDUのbegehbares Haus「ウォークインハウス」、即ち選挙キャンペーンのために一般に開放されたインフォーメーションセンターについて書いてみよう。
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例のごとく、ほぼ毎日買い物へ行く道すがら必ずこの建物が視界に入るわけだが、実はここは以前Warenhaus Jandorfという百貨店だった。1904年に経営者アドルフ・ヤンドルフによってこのデパートがオープンしたが、設計を担当したのはラッハマン&ツァウバーという建築事務所だ。
ヤンドルフ百貨店は1945年まで営業していたが、戦後はDDRのモードデザイン学校として使われていたのだそうだ。今のベルリンでここ数年、ファッションウィークのイベントが開催される所以はその歴史にあるのかもしれない。
さてそんなわけで、建物のファサードが先月半ばに突然、赤・黄色・黒の3色カラーになった時は「まさかCDUの選挙キャンペーンでもなかろうに。」と咄嗟に写真を撮ってしまった。自宅でよくよく見ると、まさにCDUそのもの。これまた面白い場所をロケーションに選んだものだ、と半ば感心したが、斜め迎えには警察署も控えていること、アート関連のイベントが多く行われている地元民が持つ建物のイメージも悪くないことなどから白派の矢が立ったのだろう。
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せっかくなのでロケハンも兼ねて、子供達と中に入ってみた。入ってすぐにインパクトの強い展示が目に飛び込んでくる。ドイツという国の心臓をイメージしたインスタレーションのようだ。パネルに表示されるのは、これまでにメルケル率いる政府が行ってきた政策とそのデータだ。
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若者の失業率が2005年比で61%低下、保育所や幼稚園に通う子供たちが2006年から2017年までの間に167%増、子供手当のために国が出した総額は64億ユーロ(2007年比で276%増)、などポジティブな数字が並ぶ。
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サイバー・ヒーローという名のついたパネル展示では、サイバー犯罪への対策が重要課題であることを訴える内容になっている。写真のパネルには「我々の自由には保護と安全が求められる。」とある。
ドイツは歴史上、個人情報が政治的に悪用されてきたことから、犯罪防止のために警察が個人情報を利用することに対する警戒がとても強い。政府はこれまでにITセキュリティー法の制定や連邦警察(BPOL)及び連邦刑事庁(BKA)に5100以上の増員をしたり、とサイバー攻撃に対する政策を採ってきているが、それに対する理解とさらなる対策の必要性を訴えている。
メルケルも一般市民とのテレビ討論で「市民の自由とセキュリティー強化のバランスが大事だ。」と念を押していた。
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こちらは「インダストリー4.0」関連のロボテックスを紹介する展示。「未来図を描こう」という内容でタブレットに描いたものをKUKA社のDaveとEmmaが共同で書く、というデモンストレーションである。Daveは30年前からあるロボットタイプだが、Emmaの方は人間との共同作業用に2年前に開発されたロボットらしい。
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こちらは家族がテーマの展示。段ボールをふんだんに使った手作り感満載の展示だ。「家族の時間」「高齢者への配慮」「住宅購入基金」などがわかりやすく解説されている。
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こんな風に変化に富んだインタラクティブな展示内容となっているので、気軽に政治的なテーマについて子供も大人も楽しみながら触れられるのではないだろうか。
「ママ、頭に両手を乗せたらウ◯チになる!」と息子は大はしゃぎでしたがw
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#fedidwguglhausという暗号のようなハッシュタグ、選挙ポスターで見かけるスローガンの頭文字を取っていたということに今になって気付いた。
https://www.cdu.de/haus


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“Kaufhaus Jandorf / ヤンドルフ百貨店” への2件のフィードバック

  1. […] 今ではもぬけの殻でこの通り。ロケーションも悪くないし、何と言っても敷地面積が広いのでアートイベントや展示会によく利用されている不思議な建物だ。引き続きレンタルスペースとして存続してくれることを願うばかりだ。 […]

  2. […] 前回の続き。公園の側にあるハイネ像の向かいには先日までファッションウィークのメイン会場だった建物がある。 今ではもぬけの殻でこの通り。ロケーションも悪くないし、何と言っても敷地面積が広いのでアートイベントや展示会によく利用されている不思議な建物だ。引き続きレンタルスペースとして存続してくれることを願うばかりだ。 […]

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