HOTEI&MIYAVI 海外で挑戦する、ということ
今年の4月、5月と立て続けにHOTEIさんやMIYAVIのライブを幸運にもベルリンで体験することができた。
どちらも世代は違うが、奇しくも「海外に挑戦する侍ギタリスト」である。ところで、この「海外」という言葉は何だか海を越えてどこかの国へ〜、という感じで島国を感じてしまう。
日本では東京ドームのライブが完売になる布袋さんでも、ベルリンではまだまだ無名の日本人ギタリスト扱いとなり、ライブの箱もかなり小さなものになる。
日本では考えられない至近距離でライブ体験ができるというのはファンとしては喜ばしいことだが、本人の胸中たるものいかがなものか。
日本で培った「有名人」というレッテルが海外に出ると全く通用しなくなるからだ。
ライブのMCでも布袋さん自身が「キル・ビルのカバーが最高だった!」とバックステージで言われたエピソードを面白おかしく話しているのを聞いた事がある。
国内でキャリアを築いてから、活動拠点を海外に移したHOTEIさんとは違い、MIYAVIの場合は最初から海外に目が向いていたように思う。
既に4度のワールドツアーも大成功に終わり、国内での知名度も上がりつつあるMIYAVI。
こんなふたりの「海外への挑戦」を目の当たりにして、色々と考えさせられた。日本でキャリアを積んでから、それを武器に海外へ出る人もいれば、すぐに海外へ飛び出して一から挑戦する人と重なって見えたからなのかもしれない。
どちらにせよ、自分のやりたいことを実現している人は素敵だなぁと思うし、方法やタイミングはどうあれ、日本で培った常識を破るためにも一度ひょいっと海外に出てみることは無駄にはならないはずだ。
私自身もドイツで、というよりはロシアで既成観念をことごとく打ち砕かれるような経験をした。20代で独身という身軽さがあってこそできたことだったのだろうと思う。
日本がつまらないとか、やるべきことがわからない、と悶々しているのであれば、何とか都合を付けて、まずは1年とか余り具体的でない目処を立てて一度外に出てみるといい。
情報がたくさん転がっているせいか、最近こちらに来る人は初めから明確な目標をきちんと立てているのですごいなーと感心するのだが、予期しないハプニングが多い初期段階では計画が整然であればあるほどうまく行かなかった時が大変なんじゃないかな、と逆に心配になったりもする。
1年なんてあってないようなものなので、そこで日本に帰りたければ帰ればいいし、残りたければ残ればいい。
一昔前とは比較にならないほど、事前に必要な情報を収集し、ある程度のイメージを掴むことも、現地で困った時に助言を仰ぐことも容易いはずだ。
フットワークの軽いうちに、これまでの既成概念を壊すという行為は視野も広がるし、メンタルも鍛えられるのでやってみて損をすることはないと思う。一旦、日本に帰ってからまた来たければ来ることもできるのだから。
ライブに行って楽しそうに音を紡ぎ出すふたりを見ていると、何だか今までとは違った親近感を覚えるのだから不思議なものだ。
布袋さんは家族でロンドン生活、MIYAVIは家族でロス生活。それこそ、育児話とか聞きたくなってしまう
自分も気付いたらいつの間にか、ドイツと日本で暮らした年月がほぼ半々になっている。そんな今、言える事は日本にもドイツにも善し悪しがあり、ドイツにいることで得るものも失うものもそれぞれあるけれど、自分が日々気持ちよく過ごせるように今住んでいるベルリンという街で好奇心を失わず精進したい、ということかもしれません。
*タイトル写真は借用しております