Vater und Sohn / 「父と息子」ドイツのイラストレーター

表題のイラストを見て、「あ、どこかで目にしたことがある。」と思った人も案外多いのではないかと思う。
6コマから8コマほどでストーリーを完結するテキスト無しのミニマルスタイル。お父さんと小さくて生意気な息子の日常をユーモラスに綴ったストーリーで人気を呼び、今日でも学校の授業に使われたり、世界各国で出版されているそうだ。
作者はエーリッヒ・オーザー(Erlich Ohser/1903-1944)。ネット検索をしている時に、ふと目についてその存在を知ったわけだが、娘の同級生の誕生日に本をプレゼントして以来、そのままになっていた。
だが、作者の経歴を調べて行くうちに、「父と息子」のほのぼのとしたイラストからは想像ができないような最期を迎えていることを知り、愕然としたのでこれを書いている。
エーリッヒ・オーザーはライプチヒでグラフィックアート及び製本技術を学ぶかたわら、編集長エーリッヒ・クナウフとエーリッヒ・ケストナーによって有名だったNeuen Leipziger Zeitungで働いていた。「3人のエーリッヒ」の友情の始まりである。
大学卒業後、オーザーは本のイラストレーター及び風刺画でその名を知られるようになるが、特に彼のヒトラーとゲッベルスの風刺画は国家社会主義者の怒りを買うこととなった。

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Vorwärts紙に掲載されたヒトラーのカリカチュア

それが原因でオーザーは職業停止処分を受ける。だが、「父と息子」のストーリーは「政治的ではないプレス・イラストレーター」として制限付きの出版許可を得る。1934年から1937年まで隔週で“Berliner Illustrirten Zeitung”に掲載され、現在のウルシュタイン社(ドイツ出版社)から3冊の「父と息子」シリーズが書籍化されドイツのコミックの歴史に名を留めることになった。
こうしてドイツで大成功を収めたオーザーだが、この当時、彼は匿名のe.o.plauen でしか本を出版できなかった。「父と息子」の後には多くの政治的ではないジョークやユーモアの溢れたイラストが“Berliner Illustrirten”やその他の類似媒体に掲載された。
経済的な理由からオーザーは1940年からカリカチュアをゲッベルス指揮で出版された“Das Reich” のために描くようになる。内容は決して国家社会主義や反ユダヤ主義的なものではなかったが、当時の戦争相手国を皮肉り、酷く攻撃する内容のものであった。
当時の芸術家の誰しもがオーザーのように生き延びる方法を探す必要に迫られたことだろう。
彼の友人である編集者、そして作家でもあったエーリッヒ・クナウフと共にオーザーは1944年に逮捕される。同居者に反ナチス的な発言を密告されたのが原因だった。
エーリッヒ・オーザーは1944年4月6日に死刑判決を受ける前に獄中で自殺した。エーリッヒ・クナウフは5月に処刑された。
オーザーの育ったプラウエンにエーリッヒ・オーザー・ハウスがあるようなので、機会があれば是非行ってみたいと思う。

 

タイトル写真Vater und Sohn in der Episode „Der schlechte Hausaufsatz“ / Foto: Erich-Ohser-Stiftung, Plauen
参考:Tagesspiegel Wie e.o.plauen aus der Reihe tanzte” von 05.04.2014 , wikipedia, http://www.kulturverwaltung.de/2.htm

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