ベルリンを麻痺させたゲリラ豪雨

今日の天気予報は午後から雷雨。ちょうどキタのお迎えの時間に当たる時間帯だ。自転車で買い物に出たら、空模様が次第に怪しくなってきていたので、これは間違いなく降って来るな〜、と嫌な予兆があった。
「さてお迎えの時間だな、そろそろ行くか。」と扉に手をかけたところで、Katwarnからのプッシュ通知が入る。このアプリはここ数日ドイツで立て続けに起っている物騒な事件を受け、インストールしたばかりの警告 システムなのだが、画面を見るとExtreme Wetterlage Berlin、すなわち「ベルリンで極端な天候状況」となっているではないか。階段の踊り場から外を確認したが、まだ雨脚はそれほど強くはないようだ。「念のために傘とレインコートと長靴を持って行かないと。」とまた自宅に戻り、長靴に履き替え、一旦仕切り直してから外に出た。
公園を通り抜け、停留所でトラムを待っていると徐々に雨脚が強まり、雷も近くなってきた。トラムが目的地に到着する頃には、滝のような雨が降り注いでいた。子供のレインコートは持って来たが、まさかここまでの雨になるとは思わず自分のレインコートは着用せずに家を出てきてしまった。後悔先に立たず。まるでバケツをひっくり返したかのような雷雨である。トラムからキタまで歩いてほんの5分程の距離で既にずぶ濡れ状態になってしまう。途中で雨宿りもしても良かったのだが、長女がひとりで小学校からキタまで来ることもあり、ちゃんとキタに辿り着けたのかも心配なところだったので先を急ぐ。
濡れねずみになってキタに到着すると、入り口に長女のキックスクーターが目に入った。時間的にギリギリ雨には遭わなかったようだ。そこでまず、ホッと一息。雨が降ってきたのでトラムに乗ったんだそうだ。
さて、雨脚が少し弱くなったところで思い切ってトラムの停留所まで雷のなる中、急ぎ足で歩く。いつもの交差点に着いたところで驚くべき光景が広がっていた。「ママ、みて、水がすごいで!」と娘。そう、向かいから来る人たちが裸足なのが不思議だったのだが、確かに信号を渡る、というより川を横切る、といった形相である。彼らは川を横切るために、邪魔な靴やサンダルを脱いだわけだ。

子供たちも半ばポカーンとして、非日常的な光景に見入っている。「ママ、こわい。」と息子。そりゃそうだ。
トラムの停留所の前の道は少し狭くなっているのだが、そこがまるでディズニーシーのアトラクションのようなことになっていた。

この調子ではトラムは来ないだろうな、と考えていると警察の車が交差点を封鎖してしまった。雨も小降りになってきたことだし、家までの約20分の距離を歩くことにした。すると、また先の方で警察の車が停車しており、立ち入り禁止のテープが巻かれている。「ママ、あそこ通れるかな?」と娘。よく見ると、余りの雨量で石畳の道の一部が陥没してしまったらしく、ぽっかりと穴が空いている。

通行人が誤って落ちないよう、取り急ぎ立ち入り禁止のテープを張ったようだ。話が逸れるが、撮影でペテルブルクに行った時に車道のほぼど真ん中にもっと大きな陥没がそのまま放置されており、ドライバーが相当驚いていたのを思い出した。ロシア恐るべし。
また少し先に行くと、今度はトラム三台が立ち往生しているのに出くわした。どうやら雨風で落ち葉がレールに詰まってしまったらしく、運転手が手をこまねいている。

それにしても、たかだか30分弱のゲリラ雷雨でこれほどの被害が出るのだから、どれだけ足掻こうが所詮自然の力には敵わないのだ。いつもの馴染みの光景が違って見えたので、子供たちには刺激的だったに違いない。公園までたどり着くと、ここそこに池や川が出没していた。長靴を持って行ったのは大正解だったようだ。Katwarn、こんな時にもなかなか頼りになるのでは。

そして、どうにかこうにか帰宅したのであるが、まさか自宅アパートの地下室が危うく浸水一歩手前という状況になっており、濡れた服を着替えるや否や、また10センチほど浸水した地下室入り口付近の水をご近所さんと協力して1時間も掛けてくみ上げることになろうとは、この時点では誰も思っていなかったのである。いやー、子供たちもよく手伝ってくれた。お疲れさん!


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